京都府立植物園と京都地方気象台の観測値の比較
京都府立植物園での気象観測
2022年12月から京都府立植物園と地球研は共同で植物園の気温と湿度を観測しています。
京都府立植物園は、日本で最初の公立植物園として1924年に開園しました。
現在は24ヘクタール(240,000㎡)の広大な敷地に、約12万本の植物が植えられています。
(京都府立植物園についての詳細は:https://www.pref.kyoto.jp/plant/ )
木陰に入ると涼しいと感じるのは、太陽からの直射光が遮られるからだけでなく、植物の蒸散作用により気化熱が奪われ、気温が下がる効果にもよります。
たくさんの植物が植えられている植物園と私たちが住んでいる市街地は、どれくらい気温に差があるでしょうか?
植物園の気温と市街地の気温を比較してみました。
植物園内の自動気象観測装置
京都府立植物園と京都地方気象台の観測値の比較
京都府立植物園は京都市の中心より北部に位置しています。
一方、京都地方気象台は周りを市街地に囲まれ近くに大きな緑地はありません。
植物園と気象台は直線距離で約4.5㎞ほど、気候条件はほぼ変わりません。
植物園と気象台(市街地)の気温、湿度の観測値を比較したのが下のグラフです。
植物園は青色、気象台はピンク色で表示しています。
京都府立植物園と京都地方気象台の気温差
観測値の気温差を表したのが下のグラフです。
”気象台-植物園”の値。青が平均気温の差、赤が最高気温の差、緑が最低気温の差。
12月〜2月の冬季は日平均の差は、主に夜朝の気温差によってもたらされているが、
7月末には日最高値の差、日最低値差、日平均の差が1〜2℃程度に収束しているように見えます。
グラフから分かること
日平均気温: 期間を通して、気象台のほうが安定して1.2℃程度高い。
日最高気温: 12月から4月上旬までは差がほぼないが、それ以降は気象台が植物園より高くなり、5月から8月にかけては、気象台のほうが植物園にくらべて1℃ほど高くなる。その後、秋から冬に向かうにつれ、両者の差はまた縮小している。
日最低気温: 5月ごろまでは気象台のほうが2.5℃程度高いが、それ以降は差が小さくなり、6月から8月にかけては、その差は1℃ほどになる。その後、秋から冬にかけてまた気象台の値のほうが徐々に大きくなっている。
まとめ
夏の昼の気温差が、植物によってもたらされている可能性が高く、植物園のようなまとまった緑地は、京都の暑い夏に酷暑をもたらす一因となっているヒートアイランド現象を和らげる効果をもつことが考えられます。
今後も測定を続け、植物の蒸散の活性との関係について分析し、その効果を検証したいと考えています。